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小林明子

小林明子/ライター

物心ついた時から家には動物がいて、ペットというより「家族」だった。 一緒に暮らすのは大変だけど、意外な発見の連続で離れられなくなる。

第24回 百猫百様、性格はまるで違う②

 目的なくインターネット検索をしていたら、「猫の好むトイレとは?」と題した実験のレポートが目に留まった。そういえば私は、猫の好むトイレというよりは、ケアのしやすさしか考えてなかったなと思いつつ読んでみたところ、非常に興味深い内容であった。

 記事によると、猫はトイレに関して“うるさい”らしく、カタチ、底に敷き詰める砂の材質にも様々な好みがあるそうだ。まずカタチについて。我が家のアンドレはプライベートな姿を見られるのを非常に嫌がるため、ヒトの視線がないことを確認し(とはいえ、回数や出たモノの確認は健康チェックに欠かせないため、モノカゲから見守っていることをアンドレは知らない)、おずおずと用を足す。特にウンチをする時、この傾向が強い。
 一方、モックはウンチであろうとオシッコであろうと、私が横のトイレを掃除していても構わずに済ます。アンドレのような臆病タイプは、出入りする穴だけがあるカプセル型を好む。モックのようにオープンな猫は、単に四角い桶のようなシンプルなトイレでも厭わない、という実験結果になっていた。

 そもそも飼育指南本などには、猫のトイレは、飼育数+1が必要と書かれている。1匹なら2個、2匹なら3個が理想的な環境らしいのだが、かさ高い物でもあるため、広い一軒家を自由に行き来させているならともかく、孤飼いで2個を置いている家は多くはないと思う。私もシャンコだけと暮らしていた時は1個のトイレで賄っていた。

 アンドレ&モックと暮らす今は2個を設置。ワンフロア生活だし、3個も置くのは場所を取って仕方ないとの判断である。ひとつは、シャンコが使っていたシンプルな箱タイプを消毒して流用。もうひとつを買い足すに当たっては、カプセル状とまでは行かないが、砂の飛び散りが少なくなることを願って周囲に覆いがついているタイプを購入した。

 多頭飼いの先輩たちには、猫がそれぞれ専用のトイレを決めると言われていた。順当にいけば、臆病なアンドレが囲い付き、大らかなモックが箱型を占有するのかと思いきや、2匹は、シンプルな箱型ではオシッコ、覆いがある方はウンチと、用向きに合わせて使い分けるという予想外の行動を見せた。猫仲間に聞くと、それは珍しいとのことだったが、野原生まれ、動物愛護センター生活が長かったアンドレとモックにすれば、個の快適性より安全性。より無防備度が高いウンチの時に囲い付きを選ぶのは、当然の選択だったのかもしれないと今にして思う。

 トイレのカタチよりも大事なのは、むしろ“砂”だと記事は説いていた。猫用のトイレ砂は、粒の大きさから形状、ぬれた部分だけが固まるもの、家のトイレに流せるもの、オカラで作られているので口に入れても大丈夫なものなど、多種多様、価格もマチマチだ。

 我が家ではシャンコの時代から“システムトイレ”と呼ばれるタイプを使ってきた。これは2段式になっていて、下段には水分を吸いこむシート(紙製のシートタイプと段ボールのようなマットの2種がある)を敷き込み、簀子(すのこ)状になっている上段には抗菌性の高い木製チップ(これも粒の大きさがいろいろあるのだが、うちで買っているのは一番大きな粒)をまんべんなく敷き詰める。吸水マットの許容量を超えるまではほぼ無臭なのと、チップが大きめなのであちこちに散らばりにくい、飛んでも掃除がしやすいのが選んだ主な理由だ。

 ちなみに、多頭飼いは特にマットとチップをマメに交換せねばならず(マットは吸収力を高めた多頭飼い用も販売されているがセール対象になりにくいので却って割高)、結構費用がかかる。そこで、一度純正品ではなく安価な汎用品の木製チップに浮気してみたこともあるのだが、水分を吸いこむと粉状に崩れ去り、簀子からこぼれ落ちてマットの吸水を阻害する。トイレの周りに粉が散らばって掃除が大変という散々な目に遭い、悔い改めた。

 チップが飛び散る原因は、用を足した後(特にウンチ)の砂かけ行動にある。これは、狩りをする動物である猫の習性で、自分の匂いを残しておくと獲物に気付かれてしまうから砂をかけて隠すと言われている。

 アンドレは富士山のようにキレイな三角錐の山を作り、完全に隠してしまう。その器用さ、彼の美意識?には惚れ惚れさせられる。ところが、モックは全く隠さない。チップを掻こうともせず、囲いをガリガリ引っ掻くだけでトイレを後にする。

 例の実験では、多くの猫が、大粒で硬い木製チップより、サラサラで細かな砂を好む結果が出ていた。さらに、猫が“砂”を掻かず、トイレ本体や壁を掻くのは、砂の肌ざわりが気に入っていないからだと報じてもいた。猫は前脚をトイレの縁にかけ、後ろ脚を砂の上に踏ん張り、尾を上げて汚れないようにウンチをするのだが、この時、敷き詰めている粒が大きかったり硬かったりすると、裸同然の肉球が痛いので嫌がるようだと、実験者は結論づけていた。なるほど、モックはチップが嫌いなことがわかったが、今さらすべてを買い替えるのもなぁ、細かい砂は掃除も大変だしと思っていたところ、またまた興味深い記事を見つけた。

 猫が排せつ物に砂をかける行動の理由は2つ。ひとつめは前述したように、狩りをする生き物だから。もうひとつは「縄張り意識」なのだとか。ところが、同じ場所に何匹も生活しているケースでは、逆に排せつ物を放置すると無用の争いを生みかねないので、「縄張り主張」に不要な排泄物を隠す習性が身につくと記事は述べていた。その根拠として、グループのボスは砂を掛けないのだと。

 ということは、我が家のボスは、体の大きなアンドレではなく、小さくて軽いモックなの!? そう考えると、オートフィーダーからドライフードが出てきた際、モックが食べ始めるのをアンドレが大人しく待っているのも理解できる気がした。

 これは目からウロコ! 3頭飼いをしている友人に早速聞いてみた。相手からは「うちもそうだ。1匹だけ、隠さない子がいる! そして確かにその子が一番強い」との返事が返ってきた。猫のコミュニティって面白いと、2人で大いに盛り上がる。そして、トイレ砂の種類を変えてもモックがそれを掻くことはないだろうという結論に落ち着いた。

女帝・モック(手前、約3㎏)の枕役を務めるアンドレ(奥、約5㎏)
女帝・モック(手前、約3㎏)の枕役を務めるアンドレ(奥、約5㎏)

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