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江 弘毅

江 弘毅/編集者

住まいと街の健全な「交通」が行われてこそ人がハッピーになる、 という街的生活者の住生活充実コラム。今日も「ごきげんなネタ」てんこ盛りで。

第8回 家でたこ焼き、そのココロは。

 大阪では一家に一台のたこ焼き器。 
 嫁入り道具のひとつがたこ焼き器。
 これは、ホンマかどうかは別にして、ひょんなことから「家でたこ焼き」をやってみた。
 というより、やるようになった。
 
 きっかけはネットで卓上カセットコンロを検索していたら、その機種専用の「たこ焼きプレート」なるものにヒットして、これがなかなかスグレものだそう。
 2千円もしないしそれなら買ってみようかということでゲット。
 例のクルッとひっくり返す「返し」(ネットでは「たこピック」という名前が付いていた)と油ひきのセットもついでに買った。

 早速、休日の昼にやってみた。
 大阪や神戸の大きなスーパーに行くと、粉からソースまで、お好み焼きとたこ焼き関連の棚がある。とくにお好み焼き、たこ焼きソースなど、いろんなメーカー、いろんな地ソースが並べられたりしてあって、いろいろ見るのも楽しい。ついでに「二度づけお断り」の串カツ用のソースなんかも発見したりする
 相当の人が「家でたこ焼き」「お好み焼き」「串カツ」をやっているのだろうな。

 わたしは実家が旧い商店街にあって、近所にたこ焼き屋さんが一軒あった。
 また街の雑誌を長い間やっていることもあって、いろんなたこ焼き、つまり卵が多くダシで食べる明石焼きとか、スジコンを入れるラジオ焼き、またソースの上にマヨネーズや辛子をかけたり、カツオブシは熱で踊るような大きく削ったのよりも粉カツオの方が好きだとか、自分にとっての「たこ焼きとは何たる食べ物か」は理解できているつもりだ。

 だからたこ焼きコーナーで「たこ焼き粉」なるものと、カツオブシの粉状のものと青ノリを買い、ソースは「何がええのか」と迷いながらメイドイン大阪の「大黒ソース」を求め、鮮魚コーナーで兵庫県産のタコ(火を通す料理にはモロッコ産のほうがうまい、という説もある)のパックをカゴに入れ、「これを忘れたらあかんのやなあ」と紅ショウガのみじん切り、天かすも買って家に帰った。

 普段やらないパターンの買い出しも結構楽しく、帰り際には「あそこの店、タコ大きいし、おいしいよなあ」と思い出したり、始めの返しは、先で円を描くよう周りをなぞり、それからクルッとひっくり返すその仕草とか、いろんなたこ焼き屋のシーンが脳裏に浮かびわくわくする。
 
 タコを「これぐらいやったかいな」と小指の先ほどの大きさに切り、ネギを刻み、天かす以下を小さなボールや鉢に入れ、準備完了。
 気分は街場いや夜店のたこ焼き屋である。タオルを出してきてねじって鉢巻きにして巻いたろか、とまで思うノリノリである。
 
 まずはたこ焼き粉のパッケージ袋に書いてある通りのレシピ通りの水を入れてやってみる。
 プレートをセットし火をつけ、油ひきで一つ一つの穴に油をひく。
 ここから気分はもう街のたこ焼き屋、あるいは屋台のニイちゃんである。
 ジューと生地を流し込み(これは片口が付いたボールを使用)、えーと順番はタコからやなあ、次に紅ショウガ、天かす、粉カツオ、最後にネギ。手先はおぼつかないが、長い人生のうち街場の店や屋台で何回も見ているので完璧だ(と自分では思っている)。

 もうエエかなと思い、返しでひっくり返してみると、おお、これは始めからうまく行く。さすが街的の俺、などと思いながらますます面白くなってきて、焼けるまで必要以上に何回も何回もつついては返しする。

 出来上がったものにソースをかけ、青ノリをパラパラ。
 食べてみる。当然おいしい。
 が、4つぐらい食べる頃になって、「どう」「うーん、まあおいしいことは、おいしいけど」「そやな、今度は明石焼きしてみよか」ということで、生地の3分の1ぐらいを卵にして明石焼き用に作り直し、ダシも用意する。

 たこ焼き粉に薄力粉を混ぜてみたり、ダシで溶いてみたり、卵を多めに混ぜ込んだり、そういう繰り返しを何回かやった。
 そして江弘毅流のレシピが確定。以下の通り。

 たこ焼き粉は市販のものだけで十分(別の粉は必要なし)。
 ダマにならないようにふるっておくとなお良し。
 生地は水を指定レシピの2割増しで。それに人数分の数の卵を入れて、箸で切るようによくかき混ぜてなじませる。
 直径15ミリぐらいに切ったタコを2ケずつ(!)、紅ショウガ、粉かつお。ネギと天かすはドバッと多め。

 このレシピのたこ焼き、ダシ(うどんのダシでオッケー。ミツバを入れ一味を少々がおいしい)で食べても良いし、ソースももちろん良し。
 
 一度やってみてくださいね。というか、「ウチの方がおいしい」というレシピがあれば、ぜひ教えてください。

 魚屋で旬のブリを買ってきてそれを塩焼きにしたり、あるいは皆で鍋を囲んだり、すき焼きを食べたりするのとは、ちょっと感覚が違う「家でたこ焼き」。
 やはり大阪の街や祭や縁日の空気がおいしいのであった。

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