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江 弘毅

江 弘毅/編集者

住まいと街の健全な「交通」が行われてこそ人がハッピーになる、 という街的生活者の住生活充実コラム。今日も「ごきげんなネタ」てんこ盛りで。

第21回 iPadをめぐって

 iPad miniを使っているのだが、今年の春ぐらいに電池が半日持たなくなった。症状が進んできたみたいで「なんか、本格的にすぐなくなるなあ」と思っていたら、先週ぐらいからGoogleの検索にアクセスしたりメールを開こうとしたりすると急に電源が落ちるようになった。

「これはあかん、使えない」と回線契約しているauショップに持っていったら、修理がどうの新しく機種変更がこうのと、窓口の若い女性とよくわからん会話になってて、とりあえず新しいのに買い換えるということが現実的か、と言われた。

 相方が携帯の充電器つまりモバイル・バッテリーをもっているのでとりあえずはそれでしのいでいたが、そんなタイミングにAppleから「新しいデバイスを購入する際に対象となるデバイスを下取りに出すと、購入価格が割引になります」とメールが来た。

充電器でしのぐ毎日は疲れる
充電器でしのぐ毎日は疲れる

 メールに貼られたリンク先のApple.comにアクセスしてよく調べると、Appleストアに持っていけばソッコー下取りしてくれるとのこと。
 ふむふむ、いけるな。

「デバイスの検索方法」というのがあって、そこをクリックすると製造番号とかモデルとかを入力するところに行かされる。iPadの「設定」に入って、「えーと、どれやろ」と「情報」を見る。「これやなあ」とシリアル番号を入れると、下取り額8千○×0円と出る。

「よーし、これは心斎橋のAppleストアへ直行や」とオフィスに向かわずに梅田から地下鉄御堂筋線に乗る。Appleストアは大阪ではこの店以外にない。御堂筋周防町のちょうどアメリカ村の入口にあって、その向かいがナイキのブティック。アメリカ、いや西海岸っぽいぞ。


 Appleストアは明るい。とくに店員の対応がフレンドリーで独特の快活さがある。英語や中国語を話す外国人客に対応する外国人スタッフの「ノー・プローブレム」という時の仕草もカリフォルニアだ。

 一番最初に会ったスタッフに「今使っているiPadを下取りしてもらって新しいのを買いたい」と伝えると、奥で待つように言われた。いろいろ新しいiPad Proとかを15分ぐらいさわったりしていると、名前を呼ばれた。

 若くてハキハキ大阪弁で喋る好青年が対応してくれる。
 新しいiPadにアプリやデータやその他もろもろを移し替えるのに「バックアップを取っているか」「ミュージックの曲が著作権とかの関係で、移し替えられない」「それ以外メールや写真のデータ、アイコンの並び方までそのままオッケー」とのこと。

 今すぐ下取りするとデータはすべてこの場で消去することになる。とりあえずバックアップが不安なので、家で使っているPCのiTunes経由でバックアップを確認してください、とのことで「オッケー、すぐやってきます」と心斎橋から地下鉄で淀屋橋まで乗ってオフィスに戻る。

 ストアへ行って会社のデスクに戻るまでの所要時間は1時間。
「へっへ、オレのITリテラシーは大したもんや」とうそぶきながら明るい気分でバックアップを確認する。
「いけてるやんけ」「新しいのをつないで『バックアップを復元』で終わりやな」。で、また心斎橋のAppleストアへ。

 同じように15分待たされて、今度は30代半ばぐらいの女性が担当してくれる。iPadを立ち上げて、バックアップを取っているのを確認して、万事オッケー。下取りの額をAppleのカードに入れて、「チョット待っててください」と奥から新しい箱を持ってくる。

新しい箱を見ると気分が高揚する
新しい箱を見ると気分が高揚する

 auの回線をそのまま引き継ぐことにするので、そのSIMカードを抜いて(下取りに出す機種はauで買ったもの)渡してくれる。新機種は5なので4で使ってたこのSIMは使えないはずなのでauで聞いてみて下さいとのこと。

「今、聞きますわ」と近くに展示しているiPadを使ってauを検索して、ケータイから電話をかけようとすると「待ち時間7分」との表記(すごいな)。「なるほどそういうことになっているんや」と理解。
「7分、いいですか?」とスタッフ女性に言うと、「いいですよ」と横で待ってくれる。

auの担当者とつながり、
①auショップに行って新しい機種のSIMカードを入れること
②手数料だけ(3,000円ぐらいやったか)かかること
を聞いて伝えると、「全部オッケーです」とのことで、下取りのiPadのデータを「バイバイ」と消去して、精算に入る。支払いはカードだ。
「ありがとうございました。先にバックアップ復元して、それからauに行ったほうがいいですよ。なにかあったらサポートへ連絡して下さい。この電話です」「はいはい、ありがとう」とまた地下鉄に乗って会社に戻る。

 ここまでまた1時間。
「この調子や、サクサクいくぞ」とiTunes経由でバックアップを復元。
「新しいiPadへようこそ」に進み「楽勝やなあ」と思いきや、


「このiPadのソフトウエアが古すぎるため、バックアップ“iPad(8)”はこのiPadの復元には使用できません」


 そこから一歩も進まない。
 なんでや? これ買うてきたばかりちゃうんか? サラやのに「古すぎる」てなんや?
「iPad」とか「バックアップ」「復元できない」とかいろいろキーワードほりこんでググって検索してみるが、該当するような項目はない。「このiPadのソフトウエアが古すぎるため、バックアップ“iPad(8)”はこのiPadの復元には使用できません」とそのまま打って(コピペできない)入れてみてもラチがあかない。


 一瞬にしてパニックである。地獄である。
 パソコンのことをよく知る知人に電話を入れるが「うーん」とアタマを抱えるのみ。で、Appleストアの女性スタッフの言葉を思いだして、0120…とAppleサポートに電話。

 自動通話で用件の通りに数字を何回か入れ、進むがなかなかつながらない。待ち受けBGMにポップスは1、クラシックは2、ジャズは3などと言われて、「音楽みたいなんエエから早よつなげんかい」と逆上気味にストレス最大。

 5分受話器を持ったままで、なかなかつながらない。
 いったん切って、ペットボトルのお茶を出してきて飲んで、数分後にまたかける。出ない、出ない、出ない。スピーカーにして受話器を置いて、記事書きの仕事をしようとするが書ける状態ではない。
 この手のイライラ、不安、腹立ちetc.の気分は何回か経験していて、辺見庸さんの以下の文章を思い出して書いてみる(約1時間)。

なかなか携帯がつながらなかったり、メールをうまく受信できなかったり、あるいは自分のパソコンの調子が悪くて起ちあがらなかったりしたときに、非常に不機嫌になってしまう。逆に、携帯もパソコンも非常に快調に受信し発信できているとき、検索もスムーズにいくとき、なにか妙に朗らかになったりする。つまり、自分の生体というものがデジタル機器の端末と化している。その好不調で自分の内面の色あいが決められている。それはおかしい。
辺見庸『しのびよる破局』「端末化する生体」p47


 電話がつながって、丁寧極まりない口調でAppleの人が一緒に歩いてくれるようにして解決(約30分)。
 かいつまんでいうと、新しいiPadのiTunesのアプリが出荷時のもので(当然だ)、使っているPCのiTunesのアプリより古いから、iPad側のiTunesのアップデートが必要。
 それのみだった。

この作業がこれほどまでに重要であったとは!?
この作業がこれほどまでに重要であったとは!?

 まあPC側のiTunesのアップデートも必要で、どちらも最新にする必要があった(さらに20分かかった)。

 パソコンやモバイルとかのこういうのはトラブルなのだろうか。その昔、「環境設定」でイラッときて「なんでこっちが環境設定されなあかんや」とか思った時もあったが、なんかコツみたいなものがあるようだが、どうなんだろう。

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